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北海道民医連新聞

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地域をつなぐ/第42回 全日本民医連定期総会
2016-04-13 15:59


「断らない救急」からみえてきた現実/勤医協中央病院 医師 田村裕昭 

 私は2015年の1年間で10人の「死亡診断書届出人」になりました。
 遺体の引き取り手がいない方の届け出は「家屋管理人」として私が院長名で行います。
 10人のうち半数が50〜60代、生活保護利用者が7人、無保険が2人でした。

 2年前までトラックの運転手として働いていた57歳のAさんは、具合が悪くても受診できず、2〜3週間も食事をとることができませんでした。
 元同僚の友人が尋ねたときはすでに虫の息で、中央病院に搬送されました。
 保護課に通報して生保申請しましたが、入院から5日目に亡くなりました。
 原発不明がんの全身転移でした。
 最期は「自分が悪いんだからどうしようもない」と言って旅立ちました。
 
 新病院を開設して以来、私たちは「断らない救急」を合言葉に実践を続けています。
 昨年は8115件の救急搬送を受け入れています。
 救急搬送患者で無料低額診療を活用した方は40人、のべ1104回、金額にして883万円です。
 当院の無低利用者全体に占める割合の8%に過ぎませんが、のべ回数、金額ともに25%を超えています。

 私たちは人間の尊厳を保ち、尊重され、元気に笑顔を返せる時間を過ごし、静かに最期の時を迎えることができる地域を創りたいと思っています。
 そのためには、地域の困難を総がかりで解決するしかありません。
 「断らない救急」を掲げ、連携を推進する中で見えてきたこの国の現実は、想像を遥かに超えたものであり、「貧困格差と自己責任論の拡大」「社会保障の空洞化」の末路ともいうべき事態です。
 「無差別平等の地域包括ケア」をしっかりと担い、社会保障の後退を許さないたたかいに立ちあがることこそが、急性期病院の最も大事な任務であると確信しています。



共同組織が中心となり市立病院を守る会結成/一条通病院 医師 鈴木和仁 

 稚内市の医療は、市立病院(364床)がほぼ全ての救急と急性期医療を担い、療養機能は脳外科病院と市立病院分院が担っています。
 市内の開業医はこの3年間で2つの内科が廃業し、内科3、小児科2、整形2ヵ所のみとなりました。
 稚内市の医療を継続するためには市立病院の医師体制維持が必須の課題ですが、市民には理解されていませんでした。
 また、地域包括ケア問題については議論すら始まっていませんでした。

 2012年12月に地域理事2人、職員理事2人からなる宗谷理事会議の場で議論し、問題意識を共有しました。
 友の会や町内会の集まりなどで、市民が市立稚内病院を支える必要があることについてお話ししました。
 さらに宗谷理事会議で、道北勤医協宗谷友の会を中心にして「市立病院を守る会」の立ち上げを決定しました。
 宗谷医院と市立病院地域連携室との会議を2週毎に開催し、現在は市立病院の在宅チームとしての役割を宗谷医院が担っています。
 稚内市も市立病院を支えるために動きました。
 昨年10月、ついに「地域医療を考える稚内市民会議」を設立。
 稚内市長を会長とし、稚内市と宗谷友の会が事務局となる組織が発足しました。
市民の関心も高まっています。
 無差別平等の地域包括ケアを地域住民と自治体と民医連の共同で進める運動がいよいよ始まります。



看取りの経験を通じて医療と介護の連携深め/月寒在宅総合センター 介護福祉士 西島龍樹
 


 当センターのサービス付き高齢者住宅に入居しながら看護小規模多機能の利用を開始した女性にがんが見つかり、当センターで初めての看取りをすることになりました。
 介護職員が主体のチームで経験が浅く、倫理観や死生観、介護観などの構築が不十分な職員が多く、「私たちには何ができるのだろう」「どのように進行していくのか」などの不安がありました。
 しかし、連携する民医連の診療所の医師や看護師は「何かあったらいつでも駆けつけます」と、病態の状態像や予測される変化を確認し、精神的にも支援してくれました。
 何度もカンファレンスを積み重ねて介護チームが看取りに向き合うことができるようになり、穏やかな最期を迎えることができました。
 実践から学ぶことで自分たちの役割がより明確になり、チームの質も向上しています。
 地域での看取りが増える中、介護職員の養成や介護チームの質の向上は大きな課題です。
 介護チームを医療のチームが教育的な視点も持って支えてくれたことで、その人らしい最期を支援することができた事例だと考えています。
 運動方針案で示されているように、「医療が分かる介護職」「生活を理解する医療職」の視点で今後も相互理解を深め、医療・介護・福祉が一体となってとりくみを進めたいと思います。



人々の笑顔のために/勤医協札幌病院 医師 西岡利泰 

 定期総会では、地域包括ケアへの転換について多くの医療機関で地域への関わりを強くする試みが行われ、「地域の医療機関の架け橋になる」と強調されていました。
 規模が小さい医療機関でも、地域の医療機関をつなぐ役割を担うことで地域全体に貢献できるのではないかと思いました。

 医師獲得、離職防止、職員養成は、多くの医療機関に共通した悩みとなっています。
多職種で看護師の評価に関わるという報告は、職員全体の成長に貢献するとりくみだと感じました。
 「医学対が現場を知らない」という報告もありました。
 現場を知らなければ学生に民医連を語ることができません。
 これは医学対だけではなく、他の職種にも当てはまると自省も込めて思いました。
 「医療人の心の再生が地域の人々の笑顔に必要」という発言にはその通りだと感じました。さらなる発展をめざして「理念を実践するための戦略」をもってとりくんでいきたいと思います。

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