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北海道民医連新聞

ニュース

たたみかける介護改悪/「安心できる介護制度をめざす学習会」から
2016-04-13 16:08


社会的介護から変質

 昨年、法律と介護報酬の改定が4、8、9月と数回に分けて実施され、介護現場はそのたびに振り回されました。
 しかし、次の法律や介護報酬の改定がすでに検討されています。
 そもそも介護保険は、家族で介護をすることが限界なので社会で介護を支えようとスタートしました。
 基本理念でも、「サービスは利用者が選択し決定できる」ということでした。
 これが危なくなっています。
 その背景に、高齢化で介護が必要な方が増え、財源負担が増えることがあります。
 そのため、保険対象を減らし、利用者負担を増やそうとしています。

 介護保険の導入は、赤字になっている医療保険制度から新しい保険制度へ移行することも目的でした。
 40歳以上の国民から介護保険料を死ぬまで徴収することにしました。
 老人保健施設、介護療養型、訪問看護、通所リハ、訪問リハも介護保険に移行されました。
 実際、介護保険1年目の給付額は、46・5%が医療保険からの財源の付け替えで、これも大きな影響を与えています。
 最近では、第2号被保険者(40歳から64歳)の対象疾患にがん末期も加えられました、当然、介護費用が増えます。

市町村まかせが進む

 こうした中で、市町村が行う地域密着サービスを増やす流れになっています。
 この4月から小規模の通所介護、通所療養介護も移行されます。
 昨年の法改正は、介護給付を減らして利用者の負担を増やすこと、利用者を減らして重度者に絞ること、そして全国一律の制度を市町村に移行していくことが特徴でした。
 はじめに介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)です。
 昨年4月から2017年4月までに、要支援利用者の85%占める通所介護と訪問介護を市町村事業に移行することが決められました。
 総合事業も介護保険財政で行われます。
 保険給付は、予算を超過した場合も介護保険財政安定化基金などを活用して給付することはできますが、総合事業の場合は予算の範囲で行うことになり、市町村は抑制的にならざるをえません。
 全国一律だった訪問と通所介護が、市町村の判断で現行の専門家による介護と同等のものと、無資格者による基準を緩和した介護などに区別できるようになりました。
 利用料金も市町村でバラバラになります。
 先行して移行した自治体では、通所型は2時間以上としたため、食事や入浴はできず、必要な場合は別料金のところもあります。
 利用するには、要介護認定を受けずに、25項目のチェックリストだけで判断できるようになりました。
 その目的は、「要支援者の能力を活かし、社会参加を促進させ自立支援を促す」として、住民主体のサービスを利用させて要介護認定者を減少させ、費用を削減させることです。
しかも、その場合は本来、要支援でも利用できる歩行器などの福祉用具貸与や他のサービスは利用できません。
 新しく利用する人にはその違いはわかりません。
 ちなみに、これにより、家政婦紹介所が喜んでいます。
 介護保険からはずれる人が多いのでチャンスと考えています。
 介護予防マネジメントは3つのパターンがあり、従来通り3ヵ月ごとに行うもの、サービス担当者会議やモニタリングを省略して簡略化するもの、さらに初回だけ行うものも認められていて、できるだけセルフマネジメントするようにしています。
 限度額も要支援1の利用が目安で、要支援2の半分となります。

利用者は負担増へ

 次の改定は、昨年の改定をさらに進める内容なので、比較してみていきます。
 まず、給付を減らして利用者の負担を増やそうとしています。
 昨年から年金やその他の所得が月20万以上の人は、1割負担から2割負担になりました。
 次の改定では、前期高齢者は全員2割負担に、後期高齢者は所得基準を下げて2割負担の対象者を拡大します。
 また、施設入所やショートステイの家賃と食事代の負担が増えます。
 介護保険が始まったときの利用者は1割負担と食事の材料費だけでしたが、1回目の改定で家賃と食事代、厨房の人件費、水道光熱費、鍋釜まで利用者負担にされました。
 所得が低くて負担できない人は、施設から出なければならないのかという問題があり、世帯ごと非課税の場合は本人の家賃と食事の負担を軽減して、その差額を介護保険から施設に支払う「補足給付」が導入されました。
 ところが昨年から、非課税世帯でも預貯金と収入の合計が1人で1000万円、夫婦で2000万円以上あれば、補足給付の対象から外されることになりました。
 また、夫婦のどちらかが特養に入る場合、住民票を移して世帯分離すると入所者本人が非課税の場合は補足給付の対象になりました。
 しかし、今回の改定で、家に住んでいる方も非課税でなければ補足給付の対象からはずされ、家賃と食事代を全額負担することになりました。
 個室ユニットの家賃負担は1日2000円、月6万円です。
 次回の改定では預貯金だけでなく、持ち家も資産と考えて、死んだあと家を売って精算する「リバースモゲージ」を検討しています。
 その家に老夫婦以外の家族が住んでいる場合はどうなるのかと議論されています。

介護利用者を減らす

 次に利用者を減らすため、重度の利用者に絞りこみます。
 この考え方は2005年に導入されました。介護保険では、中度は要介護3で、重度が要介護4、5です。昨年は、特養の入所者が要介護3以上に絞られました。
 昨年から要支援1、2の訪問介護と通所介護を総合事業に移行しましたが、次は要介護1、2も介護保険から総合事業に移行させようとしています。
 さらに、要支援から要介護2までのサービスのうち、「訪問介護の生活扶助」「福祉用具レンタル」「住宅改修」は自費にしようとしています。
 福祉用具については、標準価格、対象品目は介護度別にメンテナンス費用も決めて自費にします。

通所介護の75%が保険給付外に

 市町村の事業に移行されるか自費になる利用者数を、昨年10月の全国介護給付費からみてみます。
 自費になるのは、老健施設で29%、特定施設は54%、認知症グループホーム44%、短期入所42%、訪問リハビリと訪問看護は52%、福祉用具は61%です。
 通所介護は75%が市町村事業になり、訪問介護は73%です。
 居宅介護支援事業所は、要介護1、2のプラン作成が63%ですので、ケアプランの件数が4割以下に減ることになります。
 これでは事業所も経営していけませんが、利用者も困ります。
 介護保険料を40歳から払い続けているのに要介護3以上しか介護給付を受けられず、自費か市町村事業にされます。
 これらの財務省案に対して厚生労働省は、一部を残して市町村事業への移行や自費を認めています。

医療も改悪・負担増

 医療分野では、在宅への移行が進められています。
 今年の診療報酬でも在宅復帰率のしばりが強化されました。
 すでに、介護職による痰の吸引や胃ろう、経管栄養などの医療行為が行われています。
 入院ベッドは2025年までに30万床減らす計画も作られています。
 昨年の介護報酬改定は全体的にマイナス改定でしたが、重度者や医療行為を必要とする人、ターミナルケアに加算がつくよう誘導されました。
 次の改定では介護療養病床の廃止が決まっています。
 医師が不要の病院内住宅として、看護師に管理させようとしています。
 医療については昨年、医療保険制度改革法が成立し、窓口負担や保険料が上げられることが決まっています。
 しかし多くの国民は、国の医療、介護政策をまだ知りません。
 大きく声をあげて選挙の争点にしなければならないと思います。

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