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北海道民医連新聞

看護とぴっくす

いのち輝く癒しの空間
2007-12-29 12:07

 中央病院ホスピスケア病棟

 10月1日、オープンを心待ちにしていた患者さんが北大病院、北海道がんセンター、市立札幌病院などから転院してきました。
 
 10月の平均在院日数はわずか2週間弱でした。患者さん、ご家族との十分な関係を築く時間的ゆとりは、ありませんでした。「患者さんが今望むケアを今しないと、明日はない」と実感した1カ月でした。看護師は全員、ホスピスケア病棟での勤務は初めて。懸命の看護で患者さんを支え、最期を見守りました。

「病棟スタッフは私たちの家族」 
 開設を待って入院した40歳の男性がいました。骨肉腫と肺転移。小学2年生から2歳まで、3人の幼い子らの父親でした。
 患者さんとご家族は「心ゆくまでおしゃべりがしたい」と希望しました。前の病院は大部屋で、子どもたちとゆっくり話すことが出来ませんでした。
 コーヒーの好きな人でした。ボランティアさんが入れたコーヒーを奥さんが口に含ませると、男性の表情が歪み、泣き始めました。「それは号泣でした。コーヒーの香りで、ご病気になる前の平穏な日常を思い出したのだと思います。たった一杯のコーヒーですが、ケアとは何かを考えさせられました」看護師長の加藤真由美さんは語ります。「明日は2歳になるお子さんの誕生日。みんなでお祝いしましょう」と話し合ったその日、容態が急変して男性は亡くなりました。入院して、わずか4日後でした。病室から聞こえる子どもたちの泣き声に、看護師たちの心は震えました。
 奥さんにも手伝ってもらい、生前、ご本人が希望していたお風呂に入ってもらいました。病室を男性が大好きだったコーヒーの香りで満たしました。
 「お見送りのとき、奥さんや小さな子どもたちが『ありがとう』と言って下さったのが私たちの慰めです」と加藤さんは言います。


 「ここは不思議な病棟」義母(89)を毎日見舞っている若槻素子さん(68)=仮名、札幌市=は言います。お姑さんは、好物を少し口に出来るようになり、入院期間が病棟で最も長くなりました。「義母が歌う姿をここで初めて見ました。以前入院していた病棟では、多くの方が苦しみながら亡くなっていました。私たちはとても幸運です。ここに来ると、治療に疲れ果てて口もきけなかった人が、別人のように表情が良くなります。とても不思議な所です」
 亡くなる方がいる一方、症状が緩和され、自宅へ戻る患者さんも少なくありません。
 この日、看護師の山崎律子さんは、プライマリー・ナースとして関わった患者さんの退院後訪問をしてきました。「ご家族が『先生と看護師さんは私たちの家族です。みなさんから元気をもらい、自宅でがんばれそうです』と言ってもらいました」と微笑みます。 


 小林良裕さん(緩和ケア診療部長)は言います。
 「生きていることを一緒に喜べる、ここはそういう病棟です。11月以降は病棟も落ち着き、終末期の良い時間をご家族とともに過ごしていただいています。患者さんとの出会い、スタッフのチームワークを大切にしながら、より良いケアを提供してゆきたい」
辛い症状が緩和され、柔かな表情が戻った患者さんと病棟のスタッフ=2007年12月13日、札幌市 


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