読み物
書籍紹介
2024年9月13日
自衛隊も米軍も、日本にはいらない
花岡 蔚 著
自衛隊も米軍も、日本にはいらない
花岡 蔚 著
銀行マンとして現役時代を過ごした著者は、2003年の自衛隊イラク派兵に怒り、平和活動を開始。2017年に安倍首相(当時)が憲法9条に自衛隊を明記する方針を示したことを受けて2020年に出版した。本書はその改訂版。
改憲派は、「攻められたらどうする」論や「憲法は古く、アメリカに押し付けられたもの」論などを次々に主張する。護憲派はモグラ叩きのように反論するが、暖簾に腕押しの状況が続いてきた。著者はそうした運動に対し「護憲派は『改憲反対』を訴えているだけではいけない」と指摘する。
自衛隊内部ではセクハラやパワハラ、訓練中の死傷事故が絶えない。一方で、阪神大震災以降、さまざまな災害救助活動で脚光を浴び、マスコミもこぞって「美談」として報じてきた。
こうした現状を受けて著者は、防衛省を「防災平和省」に改編し、自衛隊を廃止。「災害救助即応隊」に再編成し、希望する隊員を雇用して国内外で災害救助をおこなうことを提案している。「災害大国で市民を守り、隊員の生活を保障する。自治体、消防、警察、国交省と異なる指示命令系統で、人命救助から復興までを担うことが重要」と強調している。
「最大規模」の台風が毎年のように上陸し、巨大地震の可能性が高まる昨今、日本を「戦争できる国」にするのではなく、災害が発生したときに救助してくれる、そんな安心感が切実に求められている。(岸)【花伝社・1650円】