読み物
書籍紹介
2024年12月13日
宇宙する頭脳
物理学者は世界をどう眺めているのか?
須藤 靖著
宇宙する頭脳
物理学者は世界をどう眺めているのか?
須藤 靖著
「宇宙する」という変な日本語のタイトルに惹かれて手に取った。著者は物理学者で、専門が宇宙物理学、特に宇宙論。
この世界はあらゆるところで物理法則が成り立っており、物理法則で説明できる(ミクロの世界はまた別)。決められた物理法則の中にあるにもかかわらず、地球、私たちの世界は自然や生き物、あらゆるものが多様性に富んでいるのだから不思議である。そして、とても魅力に満ちている。それがなぜなのか謎だとも思う。宇宙誕生から130億年以上の歴史と、「わたしたちはなぜ存在しているのだろう」と考える知性の存在が生まれた歴史を比較すると、あまりに不自然に短い。恐竜を絶滅させる隕石が地球に衝突していなければ知性が誕生していなかったのだろうか。この宇宙が、いつ、どこで、だれが、なぜ、なにを、どのようにして誕生したのか。
本書がその謎を解き明かしているわけではない。世界中の物理学者がこの謎を探求し続けている。謎がなくなってしまったらつまらない。この解けない謎に興味がない人には全くもってつまらない本であることを了承した方や、宇宙論に興味のある方なら手に取ってみてもよいと思う。(倉)【朝日新書・990円】