読み物
連載 北の息吹
2019年10月24日
175 泳ぐシカ
175 泳ぐシカ
写真家 中島宏章
とある北海道の海岸でボーッとしていた僕は、一瞬「エッ!」と目を疑う光景に驚きました。なんと、シカがうんしょ、うんしょとイヌかき(シカかき?)で泳いでいたのです!シカは陸まで泳ぎきると、やや疲れたような雰囲気を出しつつも、何事もなかったかのように森の中へ消えていきました。
そういえば去年は利尻島までヒグマが泳いで渡ったというニュースがありました。10年ほど前には青森県では絶滅したといわれるシカが目撃され、そのシカのDNA鑑定の結果、北海道から来たシカの可能性が高いとされました。利尻島も青森も、北海道から20キロほどの距離があります。我々人間からすると、そんな距離をわざわざ泳ぐなんて信じられません。
シカもクマも北海道では個体数が増えているとされます。住むところが減ってしまった彼らの言い分としては「(泳ぐより)シカたないっしょ!」というところでしょうか?