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書籍紹介

2025年2月28日

ここで一緒に暮らそうよ
地域包括ケア時代のメッセージ
大城 忠 著

ここで一緒に暮らそうよ
地域包括ケア時代のメッセージ
大城 忠 著

 2014年に発行された本書だが、今あらためて紹介したい。著者は、道南勤医協江差診療所の大城忠所長。在宅で人生の最期を迎える患者さんとのエピソードを豊かに伝える。そして、地域の人びとや自治体が、一人ひとりの患者さんを支えていることが描かれている。ときには研修医や医学生も交じって、豊かな物語を生みだしている。

 大城先生は決して格好つけることなく、研修医を頼り、診療所の職員を頼り、弱みも葛藤も隠さず正直にさらけ出す。

 医師の体制と財政的な問題により、残念ながら入院ベットを廃止せざるを得ない状況になり、江差町内だけでなく、北桧山管内を巻き込んで「地域医療を考えよう」と集会や学習会などをひらいた。その中で医療関係者が結びつきを強めた経験談も綴る。

 「患者さんから学ぶ」とはどういうことか、民医連の原点をあらためて思い返す一冊。「ここで一緒に暮らそうよ」という言葉は、地域から著書に向けたものだったが、今では著書が地域の人たち、家族に向けて発した言葉であると感じている(岸)。【本の泉社・1320円】


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