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書籍紹介

2025年3月14日

従属の代償 日米軍事一体化の真実
布施祐仁 著

従属の代償 日米軍事一体化の真実
布施祐仁 著

 2023年12月、岸田政権が閣議決定した「安保3文書」により、日本は従来の防衛費GDP1%の枠を超えて大軍拡に足を踏み出した。台湾有事が発生した際に米軍に代わって自衛隊が中国軍と対峙するための武力保有が求められた。「専守防衛」を標榜していた自衛隊が長射程のスタンドオフミサイルの開発、保持を決め、奄美から与那国島にかけて「南西の壁」として立ちはだかるように計画されている。ミサイルを補完するための弾薬庫の強化も着々と進められている。

 武力衝突が起きれば、沖縄の島々がまた戦場になるような計画を、米軍と自衛隊は共有している。

 米軍を中心とした指揮系統の一元化も進められている。与那国島では有事の際、1700人の全町民をフェリー4隻と航空機11機で九州に避難させる計画だという。有事が局地戦で終わる保証はなく、日米一体で戦争が起きれば、全国の米軍基地、自衛隊基地が攻撃の対象となり、国民には逃げる場所はない。だからこそ「外交と話し合い」による戦争回避がどうしても不可欠なのだ。

 トランプ政権は日本にさらなる負担を求め、「応じなければ在日米軍を撤退させる」と発言しているが、ご自由にどうぞ。「非戦」を掲げる国民による、新たな安保闘争が求められている。(木)【講談社現代新書・980円+税】

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