読み物
Another 北の息吹
2025年4月25日
野鳥少年の挫折
野鳥少年の挫折

高校入学してすぐに野球部に入った。高校ともなると、各中学からとても野球の上手な人が集まるから、明らかに僕は下手な部類に成り下がると思った。こんな僕でも少年野球ではキャプテンをやって、中学でも一応はレギュラーだったから、高校のレベルの高さに正直なところ怖くなってしまった。そんな現実から逃避するように、空高く舞い上がるヒバリを見上げる毎日。僕はやっぱり野鳥を追いかけていたい。部活で時間もなく身体もヘトヘトになるほど、子どもの頃から大好きだった野鳥観察への思いが強まっていった。おのずと早々に野球部は辞め、晴れて帰宅部となった。
情けない話だが、野球をやめたからといって野鳥を追いかけるわけでもなく、ただただ堕落した。高校生にもなって長靴を履いて野鳥観察?そんなことしてたら、みんなにダサいと思われちゃう。そんな思春期特有の自意識過剰感情が僕の行動に大きなブレーキをかけた。
野球もしない、野鳥もしない、そんな充実感の一切ない高校生活を過ごしていた。そんな時、久しぶりに中学の頃にお世話になっていたアルバイト先から連絡があった。あまり乗り気はしなかったが、またあの変わり者の社長に会いに行ってみようと思った。