読み物
Another 北の息吹
2025年6月27日
写真家 中島宏章誕生秘話
コウモリに魅せられて
第6回 憧れの人に手紙を書く
写真家 中島宏章誕生秘話
コウモリに魅せられて
第6回 憧れの人に手紙を書く

中学3年生の時、憧れていた動物写真家の宮崎学さんに手紙を書いた。中学生なりに作戦を練り、ファンレターと見せかけて、弟子にしてほしいという、ありがちな願いをぶつけた。返事が来る期待半分、返事が来ないという覚悟もしていた。1ヵ月たち2ヵ月たち、3ヵ月たっても返事が来ない。ああ、どうせ返事は来ないんだ、と思っていたら、ちゃんと返事がきた(返事が欲しかったら、返信用の切手を同封するのが常識!と教えてくれた。苦笑)。
嬉しくて嬉しくて、何度も何度も手紙を読み返した。君が写真家になりたいなら、と前置きして書いてくれたアドバイスは、決して甘くはなく、とても厳しい内容だった。それをまともに読んだ僕は「こりゃ思ってた以上に大変なことだ、俺みたいなノンビリ屋が、やっていけるわけない」。
僕の中のイメージでは、動物写真家って、毎日野山で動物を追いかけて、毎日好き勝手しているだけなのかと思っていたのに……予想以上の大きな壁と厳しい現実を知った。
しかし、この宮崎さんからの手紙は僕にとって「座右の書」となり、大切な宝物となった。そして将来、宮崎さんが再びヒーローとなって後押ししてくれることになるとは、僕はまだ知る由もない。