読み物
Another 北の息吹
2025年7月11日
写真家 中島宏章誕生秘話 コウモリに魅せられて
第7回 本当に自分がやりたい事
写真家 中島宏章誕生秘話 コウモリに魅せられて
第7回 本当に自分がやりたい事

高校卒業後、僕は自然環境を学ぶ専門学校に入った。座学の勉強は相変わらず苦手だったが、野外実習は格別に楽しかった。ユニークな仲間に囲まれ、充実した専門学校生活だったが、いよいよ就職しなければならなくなってきた。僕は就職活動から逃げて、お茶を濁すようにアルバイトをしていったが、有り難いことに何かしら動物に関わることで繋いでいけた。
ある時、札幌で環境調査をする会社が「バイト募集中」ということで僕も参加した。その仕事は自分に合っていると思ったし、野鳥の知識と経験がモロに活かせる職種であった。そのうち幸運なことに、環境調査会社に雇ってもらえることになった。それから忙しく仕事にあけくれた。毎日のように野鳥を追いかけた。これでお金がもらえるなんてウソみたいって思った。
ある時、ふと僕は、「写真家になりたい」というよりも「毎日動物を追いかけていたい」これこそが僕の夢だったんじゃないかなと思った。その夢が叶うなら、写真家だろうと会社員だろうと構わなかった。きっと、人に夢を発表する時、何かしら名のつく職業じゃないといけない、って子どもの頃から思い込んでいただけなんだと自分で気づいた。