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書籍紹介

2025年7月25日

バトンタッチ 市民が語る戦争体験9
北広島九条の会 編

バトンタッチ 市民が語る戦争体験9
北広島九条の会 編

 北広島市は1988年に「平和都市」を宣言。広島市にある平和記念公園の「平和の灯」から分火し、市内の公園や市役所で灯している。2007年、市民有志が北広島九条の会を設立した。憲法を守る活動の一貫として、市民が少年少女のときに体験した戦争の記憶をまとめ、小冊子にした。9条の誇りを私たち、子どもたちにつなぐ思いを込めて発行してきた「バトンタッチ」の第9号である。

 延べ150人の市民が、女性の日常、満州や樺太からの引き揚げの記録、教育の変容など、戦争の諸相を後世に伝えてきた。当時の様子、戦争の悲惨さが詳細に語られ、玉稿を提供した市民の想いが胸に響く。

 戦争に向かう社会には、6つの兆候があるという。①被害者意識と反発が国民にあおられる、②言論が不自由になる、③教育が国粋主義に変わる、④監視体制が強化される、⑤テロの実行が始まる、⑥ナショナリズムが強調される。排外主義を掲げる政党が議席を伸ばし、政府が米軍と進める「戦争する国づくり」によって、新しい戦前の危機が急速に高まっている。

 民医連の先輩方も発行に携わってきた本書は、惜しくも今号で一区切りとなった。日本被団協のノーベル平和賞受賞など、核兵器廃絶、平和の願いは世界に広がっている。「戦争しない、させない」の気持ちをさらに強め、バトンを手に行動していかなければならない。(洋)

【申し込みkitahiro-9jounokai@live.jp 頒価500円】

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