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書籍紹介

2025年8月8日

ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」
吉田 敏浩 著

ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」
吉田 敏浩 著

 トランプ政権との関税交渉の中で、さらなる武器購入が要求された。2025年の防衛予算は8兆7千億円、国家予算の中で飛び抜けて増え続けている。「台湾有事」があおられる中、南西諸島ではミサイル基地化がすすめられている。

 ではその基地で使用するミサイルはどこで保管するのか?防衛省は昨年度の予算で222億円もの巨費をかけて、全国14ヵ所の弾薬庫の整備を予定している。そのうちの実に6ヵ所が北海道にある。主戦場から離れた地にミサイルが貯蔵されようとしている。

 戦端が切られれば弾薬庫は標的となり、周辺の民間人も巻き添えになる。それはこの間の戦争でも起きている。また、自衛隊基地は核攻撃にも耐えられる構造も検討されている。攻撃で基地が存続しても、その周囲は焦土と化す。民間人の犠牲を前提に「戦争する国」づくりが進められている。社会保障費の抑制や増税によって軍拡を支えることになる。

 不足する自衛隊員を補うために、学校などに名簿を提出させている。民間の港湾・空港を自衛隊が共同利用する「特定利用空港・港湾」の指定など、地方自治体に対しても、戦争の影が押し寄せている。

 参院選の結果、改憲・排外主義を主張する勢力が参院で3分の2を占める危険な結果となっている。「改憲阻止」の運動は、戦後80年の今年、平和と生活を守る重要なとりくみとなっている。(木)【岩波新書・1056円】

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