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書籍紹介

2025年11月28日

ジェーン・スー 著
介護未満の父に起きたこと

ジェーン・スー 著
介護未満の父に起きたこと

 私が老人になったとき、「清潔感を保つ」「自慢話を一切しない」。この二つは必ず守ろう――そんな気持ちにさせられた。コミュニケーションの手段として、本格的な家庭菜園も始める必要があるかもしれない。

 人は誰もが老いを避けられない。40代までは「いつか来る老後」をどこか他人事のように想像していたが、最近は「自分が老人になり、介護が必要になったらどうなるのか」と、現実味をもって考えることが増えた。まだ早いと思っていても、時間はあっという間に過ぎていく。せめて断捨離くらいは、少しずつ始めておこう――。本書を読み終えてそう感じた。

 著者は、ケアをおこなう父親に向き合う中で葛藤を抱えながらも、「父は私とは別人格だから」と考えることで、父を、そして自分自身を大切にする道を選んでいる。そうでなければ、介護する側もされる側も心が傷つき、心身ともに弱り、やがてケアそのものが崩れてしまう――著者はそう訴えているように思えた。

 人には人の人格があり、介護にもさまざまな形があってよい。正解はひとつではない。(斉)【新潮新書・900円+税】

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