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書籍紹介

2025年12月12日

松本俊彦・横道真 著
酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話 

松本俊彦・横道真 著
酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話 

 アルコール依存症の治療中で数多くの自助グループを運営する文学研究者の横道誠さん。そして「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんのやりとりをまとめた一冊。

 依存症は、現代人にとって身近な「病」といわれています。誰もが何かに依存しており、それがあるから頑張れる毎日は「健康的な依存」です。しかし、「やめられない、とまらない」が自分の手に負えなくなり、デメリットが明らかなのに、束の間の安堵を求めてやまない不健康な依存を「依存症」というそうです。

 依存症になった本人よりも先に、家族から笑顔と生きる気力を奪っていきます。依存症に至る背景には、痛みや孤独が存在しているといいます。人生において最悪なことは、酷い目にあうことではなく、一人で苦しむこと。だから自助グループやコミュニティーの存在が大切です。

 専門家である2人の赤裸々な実体験からも、依存症の複雑さや、当事者と家族の生きづらさの数々が語られます。依存症になった人を罰して抑制するのではなく、孤独や生きづらさの要因を作っている社会を変えなければならなりません。(田)【太田出版・2420円】

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