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書籍紹介
2026年1月23日
ルポ 過労シニア
「高齢労働者」はなぜ増加したのか
若槻 澪子 著
ルポ 過労シニア
「高齢労働者」はなぜ増加したのか
若槻 澪子 著
2024年の日本の就業者数は6781万人だが、60歳以上の働く高齢者は1468万人と、就業者数全体の21・6%を占め、過去最高を更新し続けている。
一昔前までは、「セカンドライフ」として悠々自適の老後を送る……そんなイメージが漂っていたが、現状は決して甘くない。就業する高齢労働者の55%は、収入のために働いている。
子どもが就職後、職場になじめずに退職し、引きこもりになる。奨学金の返済が年金暮らしの両親にのしかかる。こうした理由や生活のために、働かざるを得ないのだ。
しかし、雇用形態は非正規やアルバイトが中心である。最低賃金のため、長時間労働や掛け持ちで働く高齢者も少なくない。清掃業、配送・倉庫、食品加工業、介護事業所などの肉体労働がほとんどで、現役時代のスキルを活かせるチャンスはほとんどない。
国は「一人の若年者が一人の高齢者を支える肩車社会」の到来によって社会保障財政が危機に陥ると喧伝するが、これは事実ではない。実際には、働いている層が子どもを含む働いていない層を支えており、その比率は1・05と、この40年間ほとんど変化していない。むしろ、働く高齢者の増加によって就業者数は過去最高を記録している。多くの人びとが「失われた30年」の被害者なのである。(木)【朝日新書・957円】