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書籍紹介

2026年3月13日

竹森巧 著
桜の下で君と
特攻隊の真実を伝えるお笑い芸人の物語

竹森巧 著
桜の下で君と
特攻隊の真実を伝えるお笑い芸人の物語

 昨年12月6日、民医連とさまざまな団体が協力して平和イベント「ピースデイズ」を開催。道内出身のお笑いコンビ、アップダウンが会場を沸かせた。

 アップダウンは札幌よしもとに所属していた阿部浩貴さんと竹森巧さんの2人。全国的にも活動する、タカ&トシの1期後輩だ。

 「平和問題の講演会」というと堅苦しい印象を受けるが、お笑いが加わることで敷居はぐっと低くなる。彼らの舞台には不快感がなく、自然と心に届くものがあった。その印象が強く、会場で紹介されていた本を思わず手に取った。

 竹森さんは、芸人を辞めようかと悩んでいた時期、同僚に誘われて鹿児島県の「知覧特攻平和会館」を訪れた。そこで出会ったのが、特攻隊員・杉野一中尉の存在だった。

 杉野氏は左腕を負傷して前線を離れ、航空学校の教官として教え子を特攻に送り出していた。しかし再び特攻を志願し、教え子とともに出撃。駆逐艦を撃沈したという。

 この杉野氏をモデルに、「桜の下で君と」と題した二人芝居を制作。自身の心境の変化や、原爆などをテーマにした漫才を作りあげていく過程を綴る。

 忘れてはならない戦争の悲劇を見つめ直す内容で、時間を忘れて一気に読み終えた。多くの人の胸に響く一冊である。アップダウンの今後の活躍にも注目していきたい。(岸)【東京ニュース通信社刊・1800円】

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