読み物
連載 北の息吹
2020年12月11日
198 物忘れない草
198 物忘れない草
写真家 中島宏章
暗い地面にひっそりと咲く白い花。これは「みょうが」。そう、あの香り豊かな香味野菜のみょうがです。私たちが普段食べているのは、花のつぼみ部分です。
みょうがにも花言葉があって「忍耐」「報いられない努力」だそうです。地面にひっそりと目立たぬように咲く姿はたしかにそう思わせます。つぼみをせっせと作っても花を咲かせる前に人に収穫されてしまう様子も物悲しいです。
しかも、みょうがの花はたとえ咲いたとしても結実することは非常に稀だそうで、なんのために開花させるのか謎だとか。そんなところも、報いられていない感が漂います。
「みょうが宿」という落語があるように、みょうがを食べると物忘れするようになるという言い伝えがあります。みょうがの別名を「忘れ草」というそうな。でも実際は、血流改善の効果により様々な効能があります。脳の活性も良くなり、むしろ、物を忘れなくなるそうですよ。