現場から
本人の価値観「じゃましない」
2019年1月24日
勤医協在宅グループ 「看取り」テーマに講演
勤医協在宅グループ 「看取り」テーマに講演
勤医協在宅グループは18日に倫理学習会を36人の参加で開催し、勤医協月寒ファミリークリニックの塩原康弘医師が「在宅・介護現場での看取りとどう向き合うか」をテーマに講演しました。
塩原医師は、患者・利用者さんを看取るときに大切なポイントとして、「いつもどおり」「じゃましない」「いいからいいから」の3つをキーワードに説明。看取りに対して身構えるのではなく、家族やスタッフが「いつもどおり」の生活を続けながら普段と同じようにケアし、他の専門職と連携していくことが大切と話しました。また、「危ないから歩いてはいけない」といった安全・安心のための管理が本人の生活や生きる力をじゃましてしまうことがあると指摘。本人が希望しない、苦痛を感じる医療処置は控えて穏やかな死への過程を「じゃましない」ように見守ることも大切と強調しました。そして、患者さんと家族の生活の延長線上にある価値観を、医療・介護職員の考え方にあてはめて修正させようとせず、自分たちの価値観に合わない方針になっても「いいからいいから」と許容して最後まで看取りを応援することが大切とのべました。
看取り期の体の変化や、入院、在宅、施設それぞれの看取りの違いを説明し、「『看取り』とは死亡確認をすることではなく、人生の最後の段階を見守り、世話をするすべてのプロセス」とのべ、利用者さんに関わり続けてきた介護スタッフも「準家族」として、心のケアをすることも必要と呼びかけました。
参加者は「これまで看取ってきた方々の顔を思い浮かべながら聞きました。悩むことばかりですが、少し気持ちが楽になりました」「自分の主観で考えがちになるので、気をつけて信頼関係を築きながら看取りをサポートしていきたい」などの感想を寄せました。