現場から

アウトリーチで患者を守る

2025年1月1日

講演する行沢さん

 北海道保健企画は12月2日、友の会拡大強化月間を振り返り、情勢を学ぶ「全職員12月集会」をオンライン併用で開催し、81人が参加しました。(岸上利光・県連事務局)


 「手遅れ死亡事例からアウトリーチの必要性を考える」と題して勤医協中央病院・医療福祉部の行沢剛部長が学習講演をおこないました。行沢さんは、昨年報告された4件の手遅れ死亡事例を紹介。「手遅れになる前にアウトリーチ活動をすることが重要です。みなさんの近くに気になる人や患者さんはいませんか?」と参加者に問いかけました。

 また、質疑応答の中で、「無保険の患者さんが病院に運び込まれたとき、札幌市は『国保料の滞納があるので自費になる』と判断することがある。粘り強く交渉して分割での支払いを認めさせ、保険診療に結びつけている。国保料滞納者への対応が非常に厳しくなっている」と現状を紹介。「他院でも同様の事例が報告されており、札幌市に対して改善を要望しようと市内のソーシャルワーカーで話し合っている」とのべました。


 続いて、無低利用者と気になる患者訪問を実施した事業所などから友の会拡大強化月間の報告がおこなわれました。「月間のまとめ」をおこなった社保・共同組織活動委員会委員長の佐藤浩二さんは、正職員の友の会加入率が100%、『いつでも元気』の購読も80%を超えたことを報告しました。

 富樫博之専務理事は閉会のあいさつで、「生活がますます厳しくなる中、患者さんから学び、患者さんを守るためのとりくみを強めましょう」と呼びかけました。

 参加した職員は、「訪問先の患者さんから、仕事を失ってからライフバランスが乱れ、受診もできなくなったと聞き、学びになった。地域に出ることの必要性を実感した」「さまざまな事例を聞いて、薬局の窓口対応だけでは見えないことが多いと感じた」と感想を寄せました。

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