現場から
訪問入浴サービスが危機状態
体制拡充求め釧路市に要望書提出
釧路社保協
体制拡充求め釧路市に要望書提出
釧路社保協
釧路市には4つの訪問入浴サービスの事業者がありました。しかし現在、看護師不足などのため2事業所に減り、訪問入浴の新規利用者は待機を余儀なくされています。道東勤医協も加盟する釧路社会保障推進協議会(釧路社保協) は事態の打開を求め、市に要望書を提出しました(道東勤医協友の会ニュースから)。
「ある在宅患者さんが訪問入浴サービスを利用したいと担当ケアマネジャーに相談したら、2ヵ月待ちになると言われた。しかし、終末期なのでそんなに待てるか分からない。早くなんとかできないか」。
昨年10月、釧路協立病院在宅療養支援室の小笠原麻紀看護師が道東勤医協の太田美季専務理事に相談したことが、要望書を提出するきっかけになりました。
相談を受けたその日に、釧路社保協の田中博修事務局長などが集まって相談し、会議を重ねて「訪問入浴サービスの体制拡充を求める要望書」を市に提出することにしました。訪問入浴の事業者からも話を聞きながら、在宅医療・介護を担う事業者に賛同を募ることなど運動を具体化してきました。
市内の訪問看護・介護ステーション、居宅介護支援事業所など140ヵ所に「要望書への賛同署名」を送付すると、36の法人や事業所、個人から署名が寄せられました。「私たちケアマネも訪問入浴の調整に困っていました」などの手紙も添えられていました。
昨年12月18日、釧路社保協は、市に訪問入浴サービスの体制拡充等を求める要望書を提出しました。笠原看護師は、「いま訪問入浴を依頼すると2ヵ月近く待機せざるをえません。終末期の方にとっては長すぎます。 速やかに利用できるよう、現状の改善が必要です」と対策を求めました。また、人員確保や報酬改善の必要性を訴えて事業者への支援を要望しました。
対応した秋里喜久治副市長(当時)は、 「在宅の医療・介護は訪問入浴も含めて重要な課題。各事業者さん共通の思いと受けとめたい。人材の確保が難しいが、各事業者から話を聞いて、市がやれることを考えたい。訪問入浴は新規参入が簡単でないが、市が施設と連携できるか、根室市のとりくみも聞きたい」と応じました。
太田専務理事は、「今回のとりくみは、『患者さんのお風呂に入る権利を保障したい』という職員の思いがきっかけで始まりました。良い医療・介護をしたいと思っても、制度の壁に阻まれて実現できないことがあります。私たちは、制度の改善や自治体の補助制度に結びつけてきました。今回のとりくみもまさに民医連の運動です。要望書の提出で終わらせずに、成果を勝ち取るまで働きかけていきたい」と話しました。
【訪問入浴サービス】寝たきり等により自宅での入浴が困難な要介護者・障害者に対して、専用車で浴槽を持ち込み、3人の専門職のサポートで安全・快適に入浴する介護保険サービスのひとつ。