現場から
ぴちぴち働き続けたい
オホーツク勤医協 「フィッシュ!」活用し職場づくりを議論
オホーツク勤医協 「フィッシュ!」活用し職場づくりを議論

「ぴちぴち働き続けたい!職場をつくろう」を合言葉に、オホーツク勤医協では昨年度から、職場づくりのとりくみを進めています。北見病院の五十嵐衣つ華医師が紹介します。
法人の労働衛生委員会は、医療・介護現場が厳しくても、今いる仲間が元気に楽しく働けることを大切にしようと、書籍「フィッシュ!~鮮度100% ぴちぴちオフィスのつくり方」を学びました。
「フィッシュ!」は、世界中の企業や個人が学び、活用しているビジネスの「哲学」で、やる気を引き出し変化するための4つの原理(①態度を選ぶ②遊ぶ③注意を向ける④人を喜ばせる)を示しています。一番大切なのは「態度を選ぶ」で、どんな仕事も楽しめるかは自分次第と自覚することです。
昨年の全役職者会議で「フィッシュ!」を紹介し、各職場に書籍を置いて誰でも読めるようにしました。ぴちぴちエピソードをニュースで紹介するなどのとりくみをすすめ、少しずつ各職場に浸透しています。
たとえば、節分の時期に菊地憲孝院長が「鬼」になり、患者さんにナッツを投げてもらいながら病棟を回診しました。訪問リハビリ担当スタッフが中心に、高齢者住宅の入居者さんがママの「喫茶くわの実」を月一度オープンし、入居者さんの「人の役に立ちたい」という願いを実現し、職員の交流の場をつくりました。また、桜の木を描いた紙を友の会室に貼り、友の会員を拡大するたびに花を咲かせて、楽しく会員拡大にとりくみました。職場に笑顔が少しずつ広がっているように感じています。
3月5日には、全職員を対象にメンタルヘルスの学習会を開催し、50人が参加しました。2年目研修医(当時)の押切謙一医師に「『働く』を根っこから考える」をテーマに講演していただきました。
押切医師ははじめに「働くとなぜメンタルが崩れるのか?」と参加者に問いかけました。そして、「職場という空間では暴力が許されているから」と衝撃的な仮説を示しました。ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を経験したハンナ・アーレントの著作「人間の条件」を引用し、ナチス・ドイツが自らの生存を目的として、戦争やホロコーストといった手段を正当化し、極端な全体主義を広げた歴史を語り、「個人の利益よりも全体の利益を優先する『全体主義』は職場にも潜んでいる」と指摘しました。
医療・介護現場での目的を達成するためには、「痛みを伴う治療や嫌がるケア、身体拘束、スタッフへの暴言や暴力は許されるか?」と投げかけました。
どうすれば目的にあふれる職場を、健やかに生きることができるのかの問いの答えは、「目的から解放され、心にゆとりを持ち、遊ぶこと」でした。まさに「フィッシュ!」の原理の一つ「遊ぶ」がキーワードでした。
講演の後、それぞれの職場でできる「遊び」について自由に話し合いました。これからできそうなことが次々と提案され、楽しいカフェになりました。忙しさや理不尽な状況に疲れ切ってしまう前に、一度楽しんでみませんか。今年度も「ユマニチュード」や「ケアの倫理」に焦点をあててぴちぴち頑張っていきたいです。