現場から

「食事が楽しみ」笑顔を戻す連携

2026年1月1日

勤医協もみじ台歯科
協立いつくしみの会

勤医協もみじ台歯科
協立いつくしみの会

 高齢者の「食べる力」を守るため、歯科と介護の連携が重要性を増しています。勤医協もみじ台歯科診療所では、訪問診療や日常的な相談対応を通じ、在宅や高齢者施設での口腔ケアを支援。協立いつくしみの会が運営する高齢者住宅や施設と連携し、食事の観察から歯科につなぐ実践が広がっています。(野津修一・県連事務局)


 「入れ歯の不具合はありませんか。歯ぐきもきれいですよ」。勤医協もみじ台歯科診療所・伊藤智子医師の声かけに、夷藤民子さん(80代)は安心します。

 夷藤さんは、協立いつくしみの会のサービス付き高齢者向け住宅「ぽろか」に今年1月から入居し、併設する小規模多機能ホーム かりぷを利用しています。昨年、股関節骨折での入院・転院がきっかけで現在の生活に移りました。

 歯科衛生士主任の佐藤志保さんは、「入居当初は、残った歯でブリッジをしていましたが、かみ合わせが悪く歯も不安定でした」と振り返ります。主治医と相談して抜歯し、現在は総入れ歯を使用しています。夷藤さんは、「固いものも食べられるようになりました。食事が楽しみ」と微笑みます。


 勤医協もみじ台歯科診療所では、毎月およそ250人に在宅や施設への訪問診療を行っています。医療機関や訪問看護師やケアマネジャー、ヘルパーからの相談にも対応し、「歯みがきができない」「食事量が減った」といった声には、まず訪問して本人や職員の話を丁寧に聞いています。

 特別養護老人ホーム かりぷあつべつには年2回、歯科衛生士が訪問し、ブラッシング方法や口腔ケア用品の使い方を指導。在宅訪問では歯石除去の機器も活用しています。


 入居者40人、平均年齢が86歳を超える「ぽろか」では、15人が歯科往診を利用しています。所長の西澤千恵美さんは、「早めのチェックと情報共有が重要です」と話します。食事中の様子や食事量、むせの有無などを職員で共有し、必要に応じて家族と連携し、歯科につなげています。

 小規模多機能ホームかりぷでは、全介助が必要な利用者にも、通いサービスの有無にかかわらず、朝夕の食後に口腔ケアを行っています。


 特別養護老人ホーム かりぷあつべつでは、入居者の状態に応じた4種類の食形態を提供しています。看護師長の船戸栄子さんは、「食事は生きる力につながる大切なもの」と話します。入居後早期に口腔内や嚥下状況を評価し、毎食後の口腔ケアと観察を実施。月1回のミールラウンド(多職種による食事場面の観察評価)では多職種で食事場面を確認しています。うがいが難しい場合はスポンジブラシを使用し、誤嚥予防につながるケアとして声かけを大切にしています。

 歯科職員が訪問した際は、「担当以外の入居者にも気軽に助言をもらえるのがありがたい」と現場からの声も聞かれます。船戸さんは、「口腔ケアは患者さんにとって苦痛に感じることもありますが、誤嚥を防ぎ、命を守るケアです。その大切さを職員同士で確認しながら実践しています」と語りました。

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