現場から

厳寒と物価高が直撃

2026年1月23日

冬の暮らしの支援を急げ

冬の暮らしの支援を急げ

 物価高騰と厳しい冬の寒さが、低所得者や年金暮らしの高齢者の生活を直撃しています。灯油価格は十数年前の約2倍となり、暖房費を切り詰めながらの暮らしを余儀なくされるなか、安全面・健康面への影響も懸念されています。

 当別町のAさん(60代・男性)は、築50年を超える町営住宅で一人暮らしをしています。勤医協当別居宅介護支援事業所・管理者の伊藤耕平さんが1月16日に訪問した際、室温は15度でした。上着を着ても肌寒さを感じる室内ですが、Aさんは「慣れればなんてことないよ」と笑ってみせます。

 農業に従事していたAさんは、16年前に糖尿病と診断され、病状が徐々に進行。糖尿病性網膜症により視力はほとんど失われています。13年前には吹雪のなかで凍傷を負い、両手のすべての指を切断しました。現在は週3回、送迎バスで往復1時間以上かけて野幌まで通い、人工透析を受けています。


 住まいは老朽化が進み、壁や窓から外気の冷たさが伝わります。暖房はカートリッジタンク式の小型石油ストーブ1台と電気ストーブ2台のみ。換気が必要ですが、寒さのため窓はほとんど開けないといいます。過去には不完全燃焼を起こし、部屋中がススだらけになったことも。ヘルパーが発見して大事に至らずに済みましたが、安全面の不安が残ります。


 調理はホットプレートを使い、焼肉やうどんなどを作っています。「ブレーカーが落ちちゃうから、食事のときは電気ストーブを切らなきゃならんのさ。それがちょっと不便かな」とAさん。ヘルパーが掃除や入浴を支援しています。また、札幌に住む妹が時折訪れ、灯油の給油などを手伝います。除雪は「近所の人がやってくれるから助かる」と話します。


 伊藤さんは、デイサービスの利用や施設入居を提案していますが、Aさんは「一人でやっていけるから大丈夫だ」と強がります。月6万5千円ほどの年金から家賃6500円を支払い、日中はストーブを消すなどして節約し、灯油代は月1万円程度に抑えています。寒い日は電気毛布を使い、ベッドと壁の間に段ボールを挟んで寒さをしのいでいます。

 伊藤さんは「本人は大丈夫だと言っていますが、自由に使えるお金は月1万円ほどで、暮らしは非常に厳しい。一人暮らしには限界があり、安全面や栄養面、今後の生活を考えると心配です」と話します。そのうえで、「Aさんのような方を支える介護サービスが必要ですが、都心部と比べると利用できる施設はほとんどありません。住む場所に関わらず、安心して暮らせるしくみが求められています」と訴えます。

 現在、ケアマネジャーは暖房設備の安全性向上についてキーパーソンの妹と相談をすすめています。地域の支援チームでは、冬季の見守り体制を強化。関係機関では、低所得高齢者向けの暖房費補助制度や情報提供のあり方について改善に向けて話し合っています。


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