ムーヴメント

身近にある戦争の暗い影

2024年11月8日

第32期 平和学校 第2クール開催

第32期 平和学校 第2クール開催

多くの朝鮮人労働者が犠牲になって造られた藻岩水力発電所を見学

 北海道民医連は10月22~23日に「第32期平和学校」の第2クールを開催し、運営委員含め20人が受講しました。フィールドワークでは、札幌のノーモア・ヒバクシャ会館や朝鮮人強制労働の現場を訪ねました。(岸上利光・県連事務局)


 10月10日に日本原水爆被害者団体協議会(被団協)がノーベル平和賞を受賞したことで、原水爆の禁止を求める運動に注目が集まっています。初日、受講者たちはノーモア・ヒバクシャ会館を訪れ、道被爆者協会理事の大村一夫さんから被爆体験を聞きました。

 広島で被爆した大村さんは、5歳のときに遊びから帰宅した際に被爆しました。「一緒に遊んでいた友人は即死しました。傷を負っていない家族や知人も髪の毛が抜け、高熱にうなされ亡くなっていきました。学校では差別を受け、大人になっても体調が優れず、不安と恐怖でいっぱいでした」とつらい体験を語りました。

 ノーベル平和賞に関しては「なぜもっと早く受賞できなかったのかという思いもある」とし、「核兵器がなくなる日まで、被爆体験を一人でも多くの人に伝えることが私の使命だと思います」と語り、後世に伝えることの重要性を訴えました。

 続いて、同協会事務局次長の北明邦夫さんが館内の展示について説明し、原爆の熱線で溶けた瓶や被爆者手帳、札幌の高校生が作成した被害の範囲を伝えるジオラマなどを見学しました。


 9月18日の第1クールでは、陸軍大演習時に天皇陛下が宿泊した施設や、北大農学部に設置された大本営への電力供給のために造られた水力発電所で多くの朝鮮人や日本人が犠牲となった歴史を学びました。今回は、現地でその歴史を感じようと、札幌市南区藻岩にある水力発電所を訪問しました。

 3本の太いパイプが通っている発電所から5分ほど北に歩くと犠牲者の碑が立っています。祖国に帰れず虐殺され、生き埋めにされた朝鮮人労働者の悔しい思いを想像し、巨大な発電所を見つめました。

 その後、民医連会館に移り、交流会を開催しました。小内浩道民医連事務局長が民医連綱領で戦争反対を掲げている理由を説明し、「平和を願う一票を投じることが大切です」と、衆院選での投票を呼びかけました。班対抗クイズ大会もおこなわれ、交流を深めました。


 翌日には、第1クールで講演した原田勇さんがガイドを務め、朝鮮人強制労働がおこなわれた手稲区金山にある鉱山の手稲鉱山選鉱場を見学しました。また、労働者の子どもたちが通った手稲西小学校で鉱山で使われた機器や当時の生活を伝える展示品を見学し、鉱山の廃棄物が置かれた手稲区の星置公園を訪れました。

 受講生からは、「身近な場所に歴史的な建造物があることを初めて知り、勉強になりました」「過去のおこないをくり返さないよう、平和を追求していきたい」などの感想が寄せられました。

 1月22日には最終の第3クールとして、パレスチナ医療奉仕団の武田美優さんと市民団体「赤い涙プロジェクト」の柳瀬安寿さんを講師に迎え、平和運動についてディスカッションをおこなう予定です。

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