ムーヴメント

核廃絶の思い広げて

2025年5月30日

ノーベル賞の日本被団協・田中氏が講演

ノーベル賞の日本被団協・田中氏が講演

満席の会場で講演する田中さん

 昨年ノーベル平和賞を受賞した日本被団協(原水爆被害者団体協議会)の田中熙巳てるみ代表委員が5月24日に札幌市内で講演し、授賞式での20分のスピーチに込めた思いを語りました。


 世界に1万2千発の核兵器があり、4000発の核弾頭がすぐに発射できる状態にある中、田中さんは、「核兵器が脅しの道具に使われている」と危険性を指摘。「私たちは被爆体験を語り、被害者の救済と核兵器の廃絶を訴えてきた。被爆者援護法は制定されたが、日本政府は死者に償う意思がない。そして核の傘に依存し核兵器禁止条約に背を向けている。オスロでのスピーチで『まったくしていない』とくり返し述べたのは、亡くなられた被爆者の思いだ」と政府を強く批判しました。

 「政府を動かすためにどうしたらよいか」。会場からの質問に田中さんは、「誰かがやってくれるものではない、どうやったら核兵器をなくせるか、みなさんに考えてほしい。同じ気持ちで行動する人を身の回りに広げていくことが大事」と、とくに若い人たちに向けてメッセージを送りました。 参加した旭川医大の柳瀬羽奏さんは、「1人ひとりの力を信じ、被爆体験を私たちなりのやり方で未来につなげていきたい」と感想を語りました。

 集会は原爆症認定訴訟に関わってきた高崎暢弁護士ら「受賞を祝う会実行委員会」が主催。520人の会場は満席となり、多くの人が入場できませんでした。札幌南高定時制有志による朗読劇や被爆2世の方のお話、北海道合唱団の演奏なども行われました。


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