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受診ためらう政治変えよ

2025年6月13日

北海道庁で記者発表
道民医連 手遅れ死亡事例を報告

北海道庁で記者発表
道民医連 手遅れ死亡事例を報告

 「制度にたどりつけず、尊い命をなくしている現実がある。人間らしく生きていくことが個人の責任にされていいのか」。北海道民医連は6月4日、北海道庁で「経済的事由による手遅れ死亡事例調査」について記者会見を行い、小内浩事務局長は集まったマスコミ各社に訴えました。


 同調査は全日本民医連が2005年から実施。昨年は全国で48例、北海道では勤医協中央病院から2事例が報告されました。

 「手遅れ」につながる要因として小内事務局長は、生活保護基準を下回る生活の実態や、高い保険料負担や受診を躊躇させている高額な窓口負担などがあることを指摘。また、制度があっても基準が厳しく、使われていない国保窓口負担減免(国保法44条)の問題や生活保護の捕捉率の低さなどを指摘しました。「今回の2事例からは、相談できるところもなく受診をためらい、痛みに耐えている実態がみえる。これらの事例は氷山の一角に過ぎず、医療制度の問題とともに『自己責任』の風潮を作り出している政治の責任が大きい」とのべ、無保険者を作らない対策と保険料・窓口負担の軽減、困窮した時のセーフティネットの整備などを訴えました。


 中央病院医療福祉部部長の行沢剛さんは、2つの事例を説明。問題に感じたエピソードとして、「当事者の男性が市役所に緊急性を伝え、保険証の発行を求めたが、保険料を納めていないのは個人の責任だから容易には出せないという対応だった。命よりも保険料徴収を優先することに怒りを感じた」と、行政のあり方を批判。行沢さんは「無料低額診療制度を利用してがんの治療を続けられ、助かった命もたくさんある。制度が新聞などで紹介されると翌日には多数の問い合わせが来る。困ったときに相談できる場があることを報道してもらい、一人でも多くの命を救いたい」とのべました。また、札幌市が作成した「生活保護の申請は権利」というポスターについて「困窮者にとっては、自分たちも申請して良いんだと勇気づけられる内容」と評価。相談窓口や方法を広く伝えてほしいと集まった記者らに要望しました。

 記者からは、「なぜ無保険になったのか」「無低制度について詳しく知りたい」などの質問があり、離職後に生活困窮に陥りやすい理由や困った時の相談先について説明しました。この会見内容は翌日、「北海道新聞」が報道しました。

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