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THEファクトチェック それってホント⁉️
Q 核武装は「安上がり」なの?
A 莫大なコストがかかります
Q 核武装は「安上がり」なの?
A 莫大なコストがかかります

今回の参議院選挙では、SNSやネット番組などを通じて、さまざまな情報や発言が拡散されました。中には、「これ、本当に正しいの?」「なんだかモヤッとする」と感じさせるような発言も。今回から不定期で巷の噂を深掘りします。
ある候補者が選挙期間中に、「核武装が最も安上がりで、最も安全を強化する策の一つ」と発言しました。その党の代表も「核武装は検討すべき。議論を避けてはいけない」と述べました。こうした主張は事実に基づいているのでしょうか。
核兵器の開発と維持には、巨額の費用がかかります。日本が核武装する場合、次のような準備が必要です。
【核兵器製造技術の開発、原材料の確保と管理、運搬手段の整備、核シェルターなど防衛インフラの構築】
これらに莫大なコストがかかります。実際に核保有国の米国では、核兵器の維持に年間約7兆6千億円(515億ドル)もの予算が投じられています。
世界9ヵ国の核関連支出の合計は約14兆4千億円にのぼり、過去5年間で34%も増加。「核武装は安上がり」とは言えません。
それだけでなく、もし日本が核武装に踏み切ると、国内外に重大な影響を及ぼします。
とくに日本が加盟しているNPTは、世界191か国が参加する重要な国際条約です。これを脱退して核武装に踏み切った国としては北朝鮮がありますが、国際的な非難と厳しい制裁を受け、孤立を深めています。
核兵器は、むしろリスクを高める存在だというのが、国際社会の共通認識です。
「核武装は安上がり」発言に対して広島市の松井一実市長は、「決して安くなく、的外れ。維持には多くの資材や研究者が必要だ」と発言。核兵器削減によって得られる資源を福祉に回すべきだと述べ、「知恵を使って暴力から逃れることが正しい道ではないか」と、平和の道を強く訴えました。
日本政府が核兵器禁止条約に参加し、国民とともに「核兵器のない世界」をめざすことこそが、いま進むべき道です。
今回の参院選では、自公政権が過半数を下回りました。私たちの声を政治に反映させるチャンスです。一方で、憲法改正をめざす勢力が議席を伸ばし、大軍拡や社会保障の切り捨てが進む危険もあります。「ミサイルよりケアを」。この声を大きく広げていきましょう。