ムーヴメント
所持金3千円 コロナ禍で「仕事ない」
街頭相談会で生活困窮者を生活保護に繋げる
街頭相談会で生活困窮者を生活保護に繋げる
札幌市内でおこなわれた「雇用とくらしSOS相談会」に生活困窮者が訪れました。支援によってすぐに生活保護に繋げることができ、「保護が決定して助かりました」と喜ばれました。
札幌市で一人暮らしをしている松本隆さん(58歳・仮名)は、2017年の秋、5年ほど続けていた代行運転の仕事を失いました。半年間は失業保険が出ていましたが、その後は蓄えを崩して暮らしていました。ハローワークに通い続けましたが仕事が見つからず、どう暮らしていこうかと悩んでいました。知人から生活保護をすすめられましたが、分譲の中古マンションに暮らしているので対象にならないと思っていました。
持ち家があっても生活保護利用できる
松本さんが札幌地下歩行空間を歩いていたとき、偶然、「雇用とくらしSOS相談会」が開かれていました。その会場には「生活保護Q&A」のポスターがあり、よく読むと「家を持っていても生活保護を利用できます」と書かれていました。話を聞いてみようとスタッフに声をかけました。そのときの所持金は、わずか3000円。ギリギリの状態でした。
相談窓口で事情を話すと、生活保護の対象になると言われ、すぐにスタッフといっしょに福祉事務所に行き、生活保護申請をしました。松本さんは本当に申請できるのか、半信半疑だったといいます。
保護課窓口で市の担当者は、松本さんの生い立ちから聞きはじめようとしました。しかし、今は新型コロナウイルス感染拡大予防のため、最低限の聞き取りをすることになっています。同行したスタッフが担当者にそのことを指摘すると、手続きは短時間で終え、その後、市の調査員が自宅を来訪して調査。8月25日に生活保護が決定しました。
ますます増える生活困窮者
松本さんが出会ったのは、8月11日の「雇用とくらしSOS相談会」(雇用・くらし・SOSネットワーク北海道と反貧困ネット北海道が主催)でした。労働や子育ての専門家、弁護士、北海道勤医協の医療ソーシャルワーカーなどが相談に応じていました。
その日は20~70代の相談者23人が訪れました。生活費の相談が11件と多く、格差と貧困が広がる中で新型コロナウイルス災害が重なり、くらしが大変になっているという相談があいつぎました。
相談会から生活保護に結びついた松本さんは安堵の声とともに、「これから年末にかけて、生活が大変な方がもっと増えると思います。とくに若い人は借家も多いと思います。困っている人はぜひ、生活保護を利用してほしい」と話しています。