読み物

書籍紹介

2021年8月13日

高江洲 敦 著
事件現場清掃人
死と生を看取る者

 特殊清掃に20年近く従事し、3千件もの現場に携わってきた著者は、特殊清掃について「死者が残した痕跡を人知れず消し去り、人が亡くなった部屋を再び生活できる空間としてよみがえらせること。亡くなった方が死に至るまでの追体験をする仕事」という。
 本書には、孤独死・自殺・病死・一家心中などの生々しい事例が紹介されている。「孤独死の章」では、リーマン・ショックを端緒とした経済の混乱や自然災害、新型コロナのパンデミック、SNSの普及がすすむなか、人と社会、人と人との関係が変化しつつあることがわかる。特にこの十数年ほどの変化は、人々の「孤立」(=居場所がない状態)がすすんでいるという。
 著書が経験した多くの事例を紹介しながら、現場の状況から亡くなられた方の人生や、なぜ孤独死につながったのか、その背景を考察している。
 コロナ禍が追い打ちをかけ、今後ますます孤独死や経済的困難が広まる中、「孤独死をなくすためにどうしたらよいのか?」「生きづらさを抱えた人にどう寄り添うのか?」。さまざまな事例と著者の個人への追体験を通じて考えさせられる一冊。なお、紹介されている事例や現場写真の中には目をそむけたくなるものがあるのでご注意ください。(安)【飛鳥新社・1300円+税】

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