読み物

書籍紹介

2017年10月12日

ナチスの手口と緊急事態条項
長谷部 恭男/石田 勇治 著

 私たちは、「緊急事態」という言葉に弱い。「こんな大変なときに何を言っているのだ」と叱責されると無条件に納得させられる。日本の憲法に「非常事態条項」はない。憲法がすべての法律に対して優位性を担保しているからだ。しかし自民党が示す改憲草案には、「内閣総理大臣が閣議決定をもって、事後に国会承認を得ることを条件に、『国家の一大事』宣言を出せる」とし、その際は基本的人権も制限がともなうとしている。
 戦前ドイツの「ワイマール憲法」下、ヒトラーによる「緊急事態条項」に基づき独裁国家がどのように建設されていったのか、本書ではその経過を対話形式で述べている。
 自民党の憲法改正草案にある「緊急事態条項」が当時のドイツの法と比較していかに危険なものかを考察する。緊急事態の定義や権限発動要件のあいまいさ、行政府の長への権利集中を極端にしている点など、その危険性を明らかにしている。今回の総選挙、最大の争点は「憲法9条改定」の是非。自分たちの都合よい憲法へ改定を目論む者たちに、日本のかじ取り、舟のオールを任せることはできない。(德)【集英社新書・760円+税】

シリーズ・講演