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書籍紹介

2017年11月24日

ヒトはなぜ病み、老いるのか

ヒトはなぜ病み、老いるのか

 子どもの頃、手相占いが流行った。「自分はどんな人生を送るのか、お金持ちになれるのか、何歳で死ぬのか」など、友だちどうしで話しあい、何の根拠もなく、生命線の短い友だちを可哀想に思ったり、頭脳線の長い友だちを羨ましがったりしていた。そして「同じ人間なのに、どうして違うのだろうか」という疑問だけが残った。本書は、そんな疑問に答える一冊だ。
 生物としての「ヒト」を科学的な研究対象として、その存在を進化の到達点として論じている。「ヒト」は、どのようなプロセスを辿り「ヒト」に進化できたのか、なぜ「ヒト」は病気になるのか、寿命とはどのように決まるのかなど、身近な疑問をテーマに最新の科学的な研究成果に基づき解明している。
 優秀な親から生まれる子どもは優秀なのか、生活環境が健全であれば、すべての人間は優秀な「ヒト」となることができるか、「長生きする家系」って本当なのかなど、遺伝子と病気、寿命の関係をわかりやすく解説している。しかし、現代科学ではまだまだ疑問が解決されていないようで、書店には手相占いの本がたくさん並んでいる。(德)【新日本出版社1836円+税】

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