読み物

連載 北の息吹

2018年1月25日

133 手乗り

133 手乗り

写真家 中島宏章


 子どもの手の上に、ゴジュウカラがチョコンと乗っています。ゴジュウカラはとっても可愛らしい小鳥なんですよ。それにしても、野鳥がどうして人の手の上で大人しくしているのでしょう?
 実はこれ、脳震盪(のうしんとう)を起こしたゴジュウカラを助けたときの写真なんです。窓ガラスにぶつかって気絶していたところを拾われたというわけです。
 鳥の視力は人間の目を遥かに凌ぐといわれていますが、人間が作り出した無色透明なガラスには度々ぶつかってしまうんですね。勢いよく当たれば命を落としてしまう鳥も多いのです。
 もともと自然界には、こんな「透明な板」など存在していませんから、鳥がぶつかってしまうのも仕方ないのかもしれません。もしガラスの下で気絶している鳥を見つけたら、カラスに襲われないよう、そっと見守ってあげてください。たいてい、そのうち目を覚まして飛んでいきますよ。

連載:北の息吹