読み物

書籍紹介

2018年2月8日

日本の新宗教 
島田裕巳 著

 助けを求めるとき、また展望を失ったとき、無意識に手を合わせ見えない何かと対話する、祈りを捧げる。それは私たち人間だけに許された行為であり、サルが祈りを捧げるなどということはない。「信仰」とは理屈とは無縁な次元のもの、弱い私たちの心の慰安なのだと思う。
 本書は、幕末・明治維新期以降、政治や暮らしが大きく変わる時代の中でもっとも弱い存在であった民衆が何を信じてきたのかという視点から、人々に選ばれ、心に生きた新宗教=新興宗教にスポットを当て、その教えと歴史をわかりやすく説いている。
 民衆の多くは、時代に翻弄される心の癒しや「死」の覚悟のために、既存宗教ではなく天理教や大本教を選択した。高度経済成長の中では、創価学会や生長の家、霊友会に救いを求めた。混迷を深める21世紀、平和が脅かされ、見えない明日に震えながら、人々は新たな救いや教えを求め、カルトな教団や刹那的な宗教を受け入れようとしている。
 私たちがいま探すべきは手を合わせる対象ではなく、手をつなぐ生きた人間なのではないか、そんな思いを強くした。(德)角川選書【1836円+税】

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