読み物

連載 北の息吹

2018年3月8日

136 つるし雲
写真家 中島宏章

136 つるし雲
写真家 中島宏章

 先日、静岡県御殿場市に滞在しました。富士山の麓にある街で、冬は快晴の日が多く、立派な富士山の姿を毎日のように拝むことができました。
 ある日の朝、外に出て富士山を眺めようとして僕は「ふぇっ?」と叫びました。空の上に、巨大で異様な形の雲がヌォーン!と宙に浮いていたからです。まるで、UFOが何層にも重なったような形。宮﨑駿のアニメ映画「天空の城ラピュタ」に出てきた低気圧の渦「竜の巣」を彷彿とさせる巨大雲です。富士山周辺はこのような「つるし雲」の名所とのこと。富士山に強風が当たり、風が跳ね上げられ、波打つことにより何層ものレンズ状の雲ができるそうなのです。
 それにしても、僕と同じように散歩している人は多くあれど、立ち止まって雲を眺める人は皆無でした。大人になると空を見上げることをしなくなるのでしょうか。たまには立ち止まって空を見上げることも、良いものですよ。

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