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2018年5月31日

底辺への競争
格差放置社会ニッポンの末路

底辺への競争
格差放置社会ニッポンの末路

 1970年代、日本人の9割が「自分の生活は『中流』です」と回答していた。20年前、バブル経済が崩壊、10年前には「ネットカフェ難民」が流行語大賞候補となり、その翌年は「年越し派遣村」が話題となった。
 この間、「貧困問題」は社会化し深刻化を重ねた。筆者は、かつてバブル経済に踊る社会にあって豊かな親にパラサイト(寄生)するが如く、結婚せずに同居することで経済的には一定の生活水準にある「パラサイト・シングル」という新たな生き方を指摘した。そして、「パラサイト・シングル」がアラフォー世代となり、どんな生活にあるのかを論じる。バブル経済崩壊、就職氷河期、リーマンショックという連続攻撃の中で、非正規雇用労働者が4割を超え、「結婚しない、結婚できない」親同居者世代が増加している。国勢調査でも「40歳男性未婚者」は3割を越えた。
 「豊か」といわれた「パラサイト・シングル」は、少ない老齢年金に暮らす親に寄生する貧しき独身者に変貌することも。「貧困問題」は底辺への競争は加速する。(德)【朝日新聞出版・720円+税】

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