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書籍紹介

2018年11月8日

素顔の西郷隆盛
磯田 道史 著

  歴史上で真偽のほどは兎も角として、その肖像、銅像が最も有名な人物は、聖徳太子と西郷隆盛なのではないだろうか。しかし聖徳太子と違って、西郷隆盛が何を成し遂げたのか、日本にとってどんな役割を果たしたのかを論じられる人は少ない。
 今年は「明治維新から150年」ということもあり、勝海舟や坂本竜馬など、江戸時代から明治時代に活躍した人たちの書籍が書店に並んでいる。そして今年のNHK大河ドラマは「西郷どん」だ。11月を迎え、番組は最終章に突入している。
 その「西郷どん」の時代考証を担当する歴史学者、磯田道史氏が、人間「西郷隆盛」の一生を新書にまとめた。「いつも民衆のことを考え、民衆のための政治を志していた」「江戸城無血開城」「清廉潔白で明治新政府軍のリーダー」…しかし最後は「反政府軍の大将として自決」というドラマチックな一生を遂げた。史実をベースに、わかりやすく語られている。タイトルにある西郷隆盛の「素顔」とはなにか、私の中にある西郷隆盛の「悲壮」感、「孤独」感の正体が少しだけ見えたような気がした。西郷隆盛入門の良書である。(德)【新潮新書890円+税】

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