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書籍紹介

2018年11月22日

誰が「道徳」を殺すのか
森口 朗 著

誰が「道徳」を殺すのか
森口 朗 著

 2017年5月、通称「地域包括ケア強化法」が成立した。少子超高齢化の中で地域・家庭・職場などで発生する諸問題を「我がこと」として受けとめ「丸ごと」その解決を国民一人ひとりが担っていく社会形成が目標だ。そして今年「特別の教科 道徳」がスタートした。
 戦前は、教育勅語に基づく「修身科」が戦争する国の人づくりと戦争政策を支えた。その結果、多くの善良な国民が犠牲となった。「我がこと、丸ごと」政策と「道徳」の復活が、社会保障制度解体、戦争する国づくりの両輪に思える。自分、家族、地域に発生する問題をすべて我がこととして受けとめられる人、国や行政にその責任を転嫁しない人、自分が犠牲となっても大切な人や日本という国を守ろうとする人、そんな人づくりが始動しているのではないか。
 本書は、「道徳」の歴史と存在意義、求められる「道徳」教育を問題提起する。著者の立ち位置や主張は特異であり、けっして支持することはできないが、混沌とする社会の中で私たちが守るべきモラルやマナー、身につけるべき「道徳」を考えさせる一冊。(德)【新潮新書820円+税】

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