読み物

連載 北の息吹

2019年1月24日

156 鹿の子

156 鹿の子

写真家 中島宏章


 模様が綺麗な夏毛のエゾシカです。鹿の子(かのこ)の模様をご存知ですか?そうです、シカの背中にある白い斑点のことです。実はこの模様、鹿の子とはいっても、大人のエゾシカにもあるんですね。エゾシカの夏毛はみんな鹿の子模様をもっています。

 でも、子鹿のバンビといえば、あの可愛い斑点模様が特徴と誰もが思っていますよね?それもそのはず、もともとバンビとは、ユーラシア大陸に生息するノロジカの子ジカのことを指していて、ノロジカは子鹿だけが鹿の子模様を持っているのです。エゾシカも生まれたての小鹿は、大人よりも鹿の子模様が目立っています。

 この鹿の子模様の白い斑点は、草むらや森のなかに潜んだとき、木漏れ日が差し込んだ風景に溶け込んで保護色の役割を果たすといわれています。母鹿は危険が迫ったとき、小鹿を草むらなどに隠して、じっと動かないようにさせてやり過ごすのです。

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