読み物
連載 北の息吹
2019年2月28日
158 恋の季節
158 恋の季節
写真家 中島宏章
寒い寒い厳冬期、キタキツネは熱い熱い恋の季節を迎えます。恋というと、やけにロマンチックに聞こえますが、動物たちの恋は、人が思い描いているそれとは全く別物といえます。
キツネも多くの動物と同様に、1頭のメスに複数のオスが求婚することになります(もっとも、オスもよそで別なメスにアタックしていたりもあるようですが…)。キツネのメスの発情期間は一瞬ですから、オスはそのチャンスを逃すまいと必死です。写真のようにメスの後ろから追っていっては、メスから出るニオイをたよりに体の変化を見逃しません。そうした努力のすえ、お嫁さんを獲得したオスは交尾をすることができるのです。
キツネは哺乳類の中では稀で、人と同じようにオスも子育てに参加をします。もっとも、キツネの夫婦は毎年毎年、新規更新。人のように生涯同じパートナーと過ごすというのは、動物の中ではごく稀といえましょう。