読み物

連載 北の息吹

2019年4月25日

162 誰の子?

162 誰の子?

写真家 中島宏章


 モズのメスです。可愛らしい顔に、カギ爪の鋭いクチバシを持っています。モズはスズメの仲間ですが、他の小鳥や野ネズミも襲って食べてしまう、まるで猛禽類のような猛々しい鳥です。モズは「百舌鳥」と書かれることもあります。百の舌、つまりいろんな声を出すことができる、モノマネが上手なんですね。
 春になれば芸達者なオスたちは、いろいろなさえずりを披露してメスにアプローチします。メスは複数のオスを品定めしてつがい相手を選ぶと、甘い声を出しては餌のプレゼントをもらいます。そして交尾をして卵を産むのですが、1回の交尾で全ての卵が受精するわけではないので、何日かにわたり、何回も交尾をします。
 しかしなんと、この交尾期間に、メスは他のオスとも関係を持つことがあるらしく、10%程度はタネ違いの子が混ざっているとか。モズのメスは口がうまい、二枚舌ならぬ、百枚舌といったところでしょうか。

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