読み物

書籍紹介

2019年3月28日

佐藤 広美 著
「誇示」する教科書
歴史と道徳をめぐって

 義務教育を受けていた頃、教科書がいくつもあることを知らなかった。学校から与えられた教科書が唯一のものであり、教科書の記述、先生が話す言葉が「真実」であると思っていた。しかし日本では、文部科学省の検定に合格さえすれば、その出版物は学校教育の「教科書」となる。
 2006年12月、第一次安倍政権のときに教育基本法が改正された。そして2008年以降、幼稚園・小中・高等学校の学習指導要綱が連続して改訂され、時を同じくして多くの新しい教科書が誕生している。
 本書は、安倍政権を忖度するが如く、「新自由主義的な人間」の養成を目的として発行された「歴史」「道徳」の教科書に焦点をあて警鐘を鳴らす。「競争・攻撃」的性格の醸成、「少数の勝ち組と多数の負け組」によって構成される社会の容認など、これらの教科書は安倍内閣がすすめる人づくり政策をバックアップする。日本国憲法を蹂躙する思想を「誇示」する教科書たちが、いま静かに児童、生徒の心を蝕んでいる現実に驚愕する。(德)【新日本出版社1700円+税】

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