読み物

書籍紹介

2019年6月28日

生活者の平成30年史
データでよむ価値観の変化
博報堂生活総合研究所

 元号代わりにともなう喧伝、「から騒ぎ」が続いている。冷静な眼でこれまでの30年を振り返ることが次の時代をどう生きるのかのヒントになる。そんな視点から本書を紹介したい。
 公的な統計だけでなく独自の調査結果もふまえ、生活者の目線から平成と呼ばれた30年の実相に迫る。生活環境の変化は、急速な少子高齢現象の深化を経て「ひとり暮らし」世帯が標準となり、結婚が社会的な安定に結びつかない社会を生んだ。不安定な経済状況を背景として「イマ・ココ・ワタシ」の充実を追求することが一般的な価値観となっていく中で、多くの人が「ひとり志向」を強める姿が読み取れる。増加する高齢者は、苦しくなる子ども世代の姿にも学び独自の人生設計を描き、家族からの「独立」、社会からの「孤立」傾向を強めたと分析する。一方、残念ながら「高齢者に新たな価値観が形成され、個性的な長寿社会の形成」と分析される地域では、30年で失われた生活基盤、新たな貧困の社会化が「崖っぷち」状態であるという認識は示されていない。(德)【日本経済新聞出版社・2000円+税】

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