読み物
書籍紹介
2025年1月24日
言葉の現在地 2017‐2024
関口 裕士 著
言葉の現在地 2017‐2024
関口 裕士 著
2017年と2021年から昨年まで北海道新聞に「言葉の現在地」が連載された。原発や沖縄、戦争などをテーマに心に残る言葉をたどった連載企画だ。関連インタビューを含め59本が掲載されている。
著者は冒頭、「心に刺さって離れないような言葉、記録して後世に伝えるべき言葉、そうした言葉を発した人に改めて話を聞き、背景にある現場を訪ね歩くことで、私たちがどんな時代を生きているかを考えたい」と思いを語っている。
東京電力福島第一原発事故の政府首脳や、米軍基地が集中する沖縄の人々の声、戦争や安全保障、水俣病、新型コロナ、映画や絵画、誌や小説など、さまざまなテーマで人々の言葉を伝える。
生活保護利用者がストーブの買い替え費用を求めて訴訟した札幌市の男性の声や、福島のがれき撤去作業に従事してがんを発症した男性の言葉も心に響いた。
人々の言葉の中には、自分とは異なるものの見方、考え方をするものもある。自分にとって聞きたくない、心地の悪い言葉の中にも、新たな発見がある。今、自分には何ができるかを考えさせられた一冊だった。(亜)【北海道新聞社・1980円】