読み物
連載 北の息吹
2019年12月12日
177 善と悪
177 善と悪
我々が住むこの地球の自然界には「善も悪も」「良いも悪いも」本来ないのかなと思います。
水田の中にカルガモがいました。まだ若いイネの間を水かきで移動しながら、水の中に頭をつっこみ、なにやら食事中です。カルガモは雑食ですから、タネや水草などの植物、昆虫などの小動物を食べているのでしょう。
カルガモが水田に入ると苗が倒されたり、幼苗を食べたり、せっかく実った稲穂を食べてしまうこともあります。一方で「合鴨農法(あいがものうほう)」が存在するように、カモは雑草や害虫を食べてくれる、人に益をもたらす動物でもあります。カルガモは水田にとって、良いこともあれば悪いこともある、両方の面を持っているということになります。
こうなると、善とか悪とかって、実は簡単には決められないことが分かります。むしろ、そういう概念自体が存在しないことが自然のふところの深さなのだと僕は考えています。