読み物

連載 北の息吹

2020年2月13日

180 新型ウイルス

写真家 中島宏章


情報に惑わされない


 中国で新型コロナウイルスによる肺炎が猛威をふるっています。人に感染するコロナウイルスの中には重篤でない「いわゆる風邪症状」を引き起こす種類はいくつか知られています。新型コロナウイルスは、例えばインフルエンザウイルスなどの既知のウイルスと違って、今までに人類が出会ったことのないウイルスなのです。
 専門家ですら未知な部分が多いのですから、我々はせめて、ちまたの情報に惑わされないための基礎知識が必要です。


ウイルスもパニック


 ウイルスには本来の居場所があって、それを「自然宿主」といいます。ウイルスは自然宿主の中にいる分には、穏やかな生活(宿主を死に至らしめることは少ない)をしています。
 ところが、何かのアクシデントで別な生物の身体に入ってしまったときは、さあ大変!何が起こるかわからない。ウイルスだって、パニックです。入ってこられた生物が重篤な症状となることもあるのです。これがウイルスが引き起こす病気の怖いところです。


過剰反応せず、油断もせず


 今回の新型は、2003年に中国で発生して世界で死者800人もの甚大な被害をもたらしたコロナウイルスSARS(サーズ)と遺伝的に近縁とされます。SARSも今回の新型も、自然宿主はコウモリの可能性が指摘されています。
 ただし、たいていはコウモリから直接人間に感染するのではなく、間に別な生物を介しています。それがSARSの場合はハクビシンでした。今回の新型も同様にコウモリから別な動物を介して我々人間に感染したと考えられています。とはいえ、曲がりなりにもコウモリ写真家を名乗る僕からいわせていただきたいのは、コウモリから感染しないからといっても、必要以上にベタベタしていいよ、ということではありません。もっとも、コウモリとベタベタしたい人は僕くらいなものでしょうが(笑)


では、どうする?


 日本は島国ですから、水際対策も他国よりはやりやすいというメリットがあります。
 しかし、今回の新型コロナウイルスは日本国内で16例の感染が報告されていますし、中国以外でも世界で23カ国に渡り感染が広がっています(2月3日時点)
これも中国の世界規模での活動をみれば当然の結果なのかもしれません。
 では、具体的に我々は何をすれば良いのでしょうか?厚生労働省のホームページをみると、ウイルス対策という意味では、それが新型ウイルスであっても、風邪やインフルエンザであっても、やることは何も変わらないとのことです。
 手洗い、うがい、アルコール消毒、マスク着用。とくに感染者の咳エチケットが重要ということになるのでしょう。


心配しすぎないで


 それに加えて僕が思うのは、「心配しすぎは損をする」ということです。
 常に不安をあおってくるメディアの報道に耳を傾けすぎて、起きてもいない不慮の事態をアレコレ妄想して消耗をしては元も子もありません。僕はこういうときだからこそ、人の情報を鵜呑みにせず、自分の感覚を大切にして、十分に警戒をしていきたいと思います。(参考文献=「ボクが逆さに生きる理由 誤解だらけのこうもり」第5章コウモリとウイルス 中島宏章著・2017年、ナツメ社)

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