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書籍紹介

2020年3月26日

守屋 洋 著
世界最高の人生哲学 老子

守屋 洋 著
世界最高の人生哲学 老子

 いま世界は、新型コロナウイルス感染の脅威に晒され、政治、経済、健康そして私たちの暮らしが翻弄される事態となっている。見えない「敵」との闘いは、医学の課題だけでなく現代に生きる私たちが「自分だけが良ければ」という利己主義をどのように克服していくのか、哲学の課題だと思う。
 中国古典「老子」は、今から2000年以上も前に複数の思想家によって積み重ねられた知識・知恵が書かれている。処世の知恵だけでなく、哲学、政治、組織のリーダーのあり方について、「どんな人間になるのか」「どのように行動すべきか」を短い文章で表現している。「上善水如」という言葉は、「水のように生きることが理想的ですよ」と説く。水がそうであるように、「人々が嫌う低い所へ自分から流れていくことが大切」と、老子は説いている。水は丸い器に入れると丸くなり、四角い器では四角な形に変わる。その柔軟性、謙虚さが大切なのだと。
 「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」。新型コロナウイルスとの闘いは、私たちの生き方、哲学が問われ、試されている。(德)【SBクリエイティブ・1600円+税】

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