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書籍紹介

2026年4月24日

外山滋比古 著
こうやって、考える

外山滋比古 著
こうやって、考える

 いまほど「考える力」が求められている時代はないのではないか。そんな思いを強くする。あらゆる問題が私たちの暮らしに直結し、政治とも深く結びついている。だからこそ、一つひとつを自分の問題として捉え、考え続けることが欠かせない。関心を持ち、思考を止めない姿勢がいま問われている。

 「生成AI」という新たな道具が登場した。それは生活を豊かにするかもしれないが、人の思考を肩代わりしてしまう側面もある。パソコンやスマホがそうであったように、私たちはその恩恵を受けながらも、「考える力」を手放してきたのではないか。ネットの情報を受け入れ、それを自分の考えだと思い込んでしまうとしたら、それは危うい。

 そんな問題意識を抱えつつ、本書を手にした。発想はどのように湧いてくるのか、どんな姿勢で思考に向き合うべきかが、短いエッセイのかたちで軽やかに語られている。

 たとえば、「知識から思考が生まれることはまれで、思考の基礎は生活にある」という指摘や、「忙しく心に引っかかることが多いときほど遊びが必要だ」といった言葉は印象的だ。思考とは日常の中で育まれるものだと教えられる。

 では、この本を読めば思考力は高まるのか。それは保証されていない。少なくとも本書は、「考えるとは何か」を改めて問い直すきっかけを与えてくれる。(ほ)【PHP文庫・1320円】

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