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書籍紹介
2026年5月22日
田中ひかる 著 『明治のナイチンゲール 大関和ちか物語』
田中ひかる 著 『明治のナイチンゲール 大関和ちか物語』
今年2月に行われた総選挙。全日本民医連看護理事一同が発したアピールに、看護とは「その人の人生に寄りそい、喜びも悲しみも丸ごと受け止める仕事です」という一文が付け加えられていました。
「寄り添うのが看護なのか?」――日本でこの概念を最初に言葉にし、体現したのが、約140年前のトレインドナース(専門の知識・技術を習得した看護師)1期生である大関和(ちか)や鈴木雅です。
大関らは、単にナイチンゲールの著書を翻訳しただけでなく、自らの実践を通して日本に「看護」を根付かせました。家父長的な医療業界のなか、東京帝国大学第一医院(現・東大病院)では患者の立場から医師に治療方針を提案。さらに、看護婦の待遇改善や看護教育の定例化を求める建議書を病院長に提出し、自主的な講習会を開いたことで病院を追われることになります。
その後も和は「物言う看護婦」として本領を発揮し続けます。かつて「家族がするもの」だった看病を、「なくてはならない職業」へと高めました。しかし現代、医療機関の経営悪化による低賃金やダブルワークの蔓延から、看護師は「憧れの職業ベスト5」から姿を消しつつあります。
今こそ彼女たちの原点に立ち返る時です。朝ドラ『風、薫る』の熱気も追い風に、私たちの「ナースアクション」のとりくみへと活かしていきましょう。【中央公論社・文庫924円】