読み物

書籍紹介

2020年6月18日

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
ブレイディみかこ 著

 福岡県生まれ、イギリス在住の著者は、ライターとして活躍する保育士です。イギリスのブライトンという町に、アイルランド人の夫と中学生の息子の3人で暮らし、息子の目線を通じてイギリス社会を捉えます。
 イギリスでは4歳で小学校、11歳で中学校にすすみます。比較的裕福な家庭の子が多く通うカトリックの小学校を卒業した息子は、「底辺校」からの脱却をめざす中学校に進学します。そこは、小学校とうって変わってイギリス社会のリアルを反映する学校でした。人種、民族、階層、貧困、ジェンダーなど、多様性に富んだ環境の中で学校生活を送ります。小さな集団に分かれて対立し合うことも。
 一方、多様性を認め合うことをめざすイギリスの学校教育についてもふれています。「子どもは全てにぶち当たる」という筆者。11歳の少年が、学校や地域社会の中で差別や偏見、ヘイトを体験しながらも、しなやかに成長していく姿が描かれます。それを見守り、いっしょに悩みながら、筆者にも新しい発見が。イギリス社会の正の面と負の面。その両面を体感しながら、多様性の中を生きる力を身に着けていく親子の実話です。(吉)【新潮社・1485円】

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